中古車スキームとは何か?

ぶろぐラム

【中古車スキームの概要】
 主に法人の節税対策として、中古車スキームなるものがあります。概要は、次のとおりです。
1. 4年落ちの中古の高級車を購入して、1年で減価償却を済ませる。
2. 翌年に売却して、利益を得る。
→ これだけです。

【ケーススタディ】
 毎年、2千万円の利益(課税所得)を得ている会社が、1千万円の(4年落ち)中古車を購入した場合を例に、トレースしていきます。(便宜上、法人税率を30%とします。)
1. 《購入時》1千万円の購入したが、1年で減価償却することができた。
 →(経営者心理)1千万円の車をすぐに償却することができた。お陰で法人税が300万円少なくなった。「オレって天才?税金なんて、ちょっとアタマを使えば何とでもなるさ。」
2. 《売却時》中古車販売会社のマージン等があり、800万円での売却となった。利益が800万円上振れし、240万円の租税負担が増加した。
 →(経営者心理)原価ゼロのクルマを800万円で売ることができた。利益が上がったぁ~。「タダ同然のモノが800万円で売れるなんて、オレって商売の神様?」
※ここで、2期通算すると、200万円の売却損と60万円(300万円ー240万円)の法人税減少が生じます。

【何が得なのか】
 1千万円程度の「よくある高級車」では、何も得しません。仮に市場の販売価格が変わらなくても中古車販売会社のマージンがあるため、損するだけです。この損を、分かりづらくするためには、1台売却・2台購入、2台売却・3台購入、・・・という魔のスパイラルに陥ることもあります。
 では、全くの「損にしかならないスキーム」かといえば、そうでもありません。得するケースは、次に事例をあげます。

【得するケース】
1. 《翌年に多額の費用や損失があるケース》
 X1年に中古車を購入し、その年に全額償却します。X2年に多額の損失(例えば売却損、除却損、役員退職金など)があり、多額の損失が計上される場合は、X2年に中古車を売却することによって、損失が緩和されます。ただし、現行の法人税法では、この先9年間損失を繰り越すことができるので、9年間で埋められないほどの損失がある場合に効果的と考えます。
2. 《絶対に値落ちしないクルマのケース》
 これからプレミアムが付く一方で、絶対に値落ちしないクルマに投資して、時価の値上がり分を長くため込み、その評価の上昇を含み益として備えるのであれば、良い考え方だと思います。ただし、そのようなクルマは、すでに数億の相場となっているものが多く、1千万円程度の投資で「絶対に値落ちしないクルマ」を探すのは困難ではないでしょうか?

【まとめ】
 中古車スキームを完全否定するつもりは、毛頭ありませんが、効果的なケースは限られていると考えます。なお、冒頭の【ケーススタディ】に挙げたような経営者心理は、錯覚に過ぎないと思います。経営者の方は、それでも中古車スキームを使いますか?

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