
私は、所属する東京地方税理士会神奈川支部で、相談員をしています。相談員は、同じ神奈川支部に所属する税理士からの相談を受けます。
私は、開業してそれほど経たないのですが、すぐに大御所の先生方も担当する相談員のお仲間に入れていただき、身が引き締まる思いです。
今週は、数カ月に一度の相談業務を担当させていただきました。私が担当する法人税は、相談があまり多くないと思っていたのですが、珍しく多くの相談を受けました。
今回受けた相談の概要をご案内し、相談員の業務が「どのような感じなのか」をご理解いただければと思います。


【1件目】
金融資産に関する相談で、ストックオプション通達のように、まだ定式化されていない金融商品の相談でした。
しかしながら、ストックオプションと共通する課税原因も多くあり、共通する課税原因は同じ取り扱いをするべきとのアドバイスを行いました。
また、定式化されていない取引は、国税庁のHPを丹念に調べ、大阪国税局への事前照会とその回答で同様の事例があったため、ご案内し、ご質問の回答といたしました。
【2件目】
国際税務に関する相談で、ある外国法人が日本に納税義務があるかどうかのご相談でした。
想定される取引形態を2種類掲げており、ご相談に来られた税理士は、プランAが納税義務あり、プランBが納税義務なしとのご見解で、その見解に対するセカンドオピニオンでした。
国内法、OECDモデル条約、その国との二国間条約を調べ上げ、ご相談に来られた税理士と同じ見解に至りました。


【3件目】
ある支払いが、交際費や寄附金に認定され、課税対象になるか否か、というご相談でした。
交際費も寄附金も税法上の別段の定め(会計等と違う扱いをする税法の規定)なので、定義があることをご案内し、この定義には不確定要素もあるところ、判例や通達で焦点が絞られてきていることなどをご案内しました。
そのうえで、交際費には当たらないが寄附金の可能性は否めないところ、事実関係を示す資料を完備し、その支払いが正当な対価であることを説明できるようにしておくこと、また、事実認定に関することなので、はっきりと判定できかねることをご案内しました。
【番外編】
相談者は、相談日に予定が入っているので、事前にFAXで対応してもらいたい旨のご要望がありました。
会計基準と税務調理に関するもので、大手の法人様が日本基準(J-GAAP)で会計処理をすると、法人税申告書の別表調理が困難になるため、税務調理に関するご確認でした。
中小企業が行う税法に準じた会計による税務調理と、大企業が行う日本基準の税務調理を対比してご説明し、ご理解を得ることができました。


《おわりに》
税理士会支部の相談員業務は、私のクライアント様では恐らく生じないであろう取引にも接することができ、私自身が日常使わない税法の部分のおさらいすることができます。
ご質問にお越しいただいた先生方、ありがとうございました。今回は、満員御礼の相談員業務でした。
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